美輪明宏のライブ見た
音楽をやっている知人の多くが口をそろえて「美輪明宏のコンサートには一度行ったほうが良い」と言っていたので,ようしどらどらと行ってきた. 会場は日野市民会館で,久々にホールでやる形式のコンサートで落ち着いて観ることが出来て良かった.ところで最近,スタンディングはライブ感あるけど疲れるし落ち着かない感じになってきた.これは老でしょうか?
美輪明宏 T シャツでも売っていないものか,あったら1着買おうと思って物販コーナーを覗いたら衣類は一切なくて,代わりに美輪明宏著の本が大量に売られていて文化という感じだった.そしてその著書が結構売れていたので,ロックバンドも凝った T シャツ売らずに著書を売ったほうが良さそう. また,会場内に「プレゼント受付」というのがあり,そこに花や手紙などを持って行くと美輪明宏に渡されるというシステムが形成されていた.すごい.
コンサートの内容としては,トーク半分・歌半分という感じで曲数にしては10曲程度なんだけれど,とにかく喋りの内容が濃くて奇妙な満足感がある.トークの中に「三島由紀夫さんが言うには〜」とか「江戸川乱歩さんと会った時に〜」とか「岡本太郎が〜」とか「寺山修司と良く行っていたんですが〜」とか,錚々たる人々の名前がカジュアルに出てきてクラクラする.本物の文化.とその一方で「ツイッターで評判だったんですよ」みたいな2016年っぽい話も併せてしていて更にクラクラする.というか,トークというよりも説法という感じ (内容含め).説法の合間合間に迫力満点の歌が聴ける会,みたいな.美輪明宏らしいスピリチュアルな語りの内容 (これが説法と呼んだ所以) にちょくちょくジョークが交えられており,キャラがブレていない.
そして美輪明宏の歌は本当に凄味がある.御年81歳とはとても思えない声量かつステージ上の動きで圧倒される.歌というよりも演劇を観ているような感覚にすらなる.声が人を揺さぶる.歌に表情がある.文字通り聴くものを圧倒する,という感じで体験があり良い.生ヨイトマケの唄と生愛の讃歌を聴けて非常に良かった.最後は観客のほとんどが立ち上がり拍手をしていたので,そういう一体感がお好きな人も満足されるかと思います.
「咳などをされる際はハンカチやタオルを口に当て、音を小さくするようにお願いします。度々お客様より苦情を頂いております」という事前アナウンスが流れてすごかった
— 5分では無理 (@moznion) 2016年6月18日
コンサート中は没入感にも似た感覚が味わえて,その為にこのようなアナウンスがされる理由も納得できるような気がした.
とにかく迫力と体験があって良かった.実物の美輪明宏を観るまでは空想上の存在とか,概念とか,そういうアブストラクトな伝説の類だと思っていたのだけれど,その伝説は確かに実在していた. みなさんも行けば良いかと思います.美輪明宏はすごい.